ひめか
INTERVIEW
vol.3
「ひめか引退ロード」が始まり、ひめかが引退までにやりたいと思っていたカードが次々と実現している。引退発表時、4月23日の横浜アリーナでラストマッチ、5月14日引退式が正式発表された。また、引退までにやりたいこととして、センダイガールズの橋本千紘、フリーの関口翔との対戦、世羅りさとのハードコアマッチを要望した。
早速、2月26日の神戸でジュリア&舞華と組み、世羅率いるプロミネンスとのハードコアマッチ、3月4日には、橋本とのシングル戦が実現した。さらに、3月10日にはユニットが別れていたなつぽいとのシングル戦が正式に「ひめか引退ロード」と銘打って行われ、試合後には、「ひめか&高瀬みゆきvsなつぽい&関口翔」という所属前団体が初めて後楽園ホールに進出した大会で組まれたカードを提案。翌11日は、舞華とのコンビで中野たむ&なつぽいとのタッグ戦、12日にはクイーンズクエストvsDDMのユニット対決、15日には琉悪夏戦と記念試合ラッシュとなっている。ひめかが提案した同窓会対決は4月2日に実現。さらに4月6日=白川未奈戦、4月8日=壮麗亜美戦、4月9日=黄金世代対決、4月14日=ラスト舞ひめがと続いていく。
今回は、仲の良かった、なつぽい、関口翔、舞華の3人に話を聞いた。
3月4日にはスターダム参戦前に対戦したこともある橋本とのラストマッチも実現
「DDMに入ったのは、万喜なつみとしてやってきた自分自身のキャラクターというのが、STARSとか王道のキラキラみたいな感じなのかなあと想像してたんですが、大好きなひめかがDDMにいたり、スターダムにくる前に朱里姉ちゃんと一緒に姉妹の役する舞台に出たりとか、DDM絡みというのが多かったので。DDMだったら安心するかなと思ってました。でも自分の色ではないのかなとも思ってました」
—ゴッデス王座を取れなくてひめかのパートナーがすぐ舞華に変わりました。
「悔しかったです。なんでそうなるの?なんですぐそっち選ぶの?という気持ちじゃなくて、率直に自分の不甲斐なさと、自分がボコボコにやられて、ひめかに何度も助けてもらって。でも最終的に自分が取られてしまった。本当にひめかとそこでゴッデスを獲っての未来を想像ばかりしちゃってたから。それが、悔しかった」
—その後、アーティスト王座を獲りましたね。
「本当に嬉しいし、全ユニット、いろんなトリオがある中で、舞ひめぽいがマジで最強だと思っていたので。身内に甘いんですけど(笑)。バランスも、ビジュアルも、仲の良さも抜かせる人いないでしょ。アーティスト巻くべき3人、一番最適な3人だと本気で思えたので、なるべくしてなったというか。絶対獲れないわけないと思って挑んだし、獲れた時は、それが当たり前でしょというワクワク感しかなかった。私は生きてる中で、夢を叶えるには、根拠のない自信が必要だと言ってます。舞ひめぽいに関しては、バランスがめちゃくちゃ良くて、スピード、細かさの私がいて、パワーで大きくて勢いのあるひめかがいて、舞華ちゃんの安定感と強さがあって。このパワーバランスもめちゃくちゃ良かったと思うんですよね。あと並んだ時の見た目。自分でいうのもなんですが、ビジュアルもめちゃくちゃバランスがいいと思っていて」
—DDMを離れたのは?
「理由はいくつかあるんです。たむちゃんとの2番勝負があったことが一番大きくて。それまでは一度も考えたことはなかったんです。DDMを抜けることは。金網マッチをやった時も思ってなかったんですよ。コズエンに入りたいという気持ちはずっとなくて。金網終わった時に、たむちゃんに、“あんたのいろんな部分、どんなこともわかってあげられるのは私しかいない”と試合後にボソボソと言われたんですよ。スリーパーで落とされた後に。その時は負けてるので、何言ってるんだよ、悔しい気持ちが一番大きい中でも、こんなにぶつけ合って、それを受け止めてくれる人って、あんまりいないなと思ってしまって。その時期にひめかといざこざがあって喧嘩があって、で一応仲直りはしたんですけど、という状況だったので、そんな時に、何でもかんでもぶつけ合える、受け止めてくれてるというのが、自分の中で大きくて。しかもパッと見たら私はDDMの見た目じゃないと言われてきたけど、そんなの関係ないと思ってたけど。あっ、この子と組んだら、何が待ってるんだろう?何が見えるんだろう?とちょっとそこで想像しちゃったのが、一つのきっかけでもあります」
かつてのタッグパートナー・なつぽいのコメント
古巣時代から仲のよかったなつぽいとのラストシングル戦。なつぽいはフィニッシュの関節技をひめかに因み「フェアリー・プリンセス」と命名した。
—スターダム参戦時は、中野たむとの確執も取り沙汰されてましたが。
「スターダムに来て、たむちゃんの白いベルトに挑戦した時に吹っ切れていた。それに関しては、私も子供だったなと思うところもあるし、今のたむちゃんの立ち位置が、あの時を引きずってる私が許せなかったんだと思うんですけど。あの白いベルトのときにボコボコにされて、今たむちゃんがここのリングでやってきて確立したものがある、色々なことがあってここがあるというのを感じたので。それに関しては、そこで終わり。あとは、舞ひめぽいの関係性がちょっと崩れてたこと。DDMは大好きだったし、今も大好きなんですけど、DDMのプロレス像というか、私がこんなものになってみたいというか、こんなふうに進んでみたい像とは、あまりにも色が違いすぎた。多分、いい意味でも悪い意味でもずっと立ち位置が変わらなかったと思うんですよ、DDMにいたら。ジュリアちゃんがトップにいて。それを支える用心棒みたいな舞ひめがいて。最近入ってきたまいちゃんとかいて。私は自由にさせてもらってた。でも自分の立ち位置として、もう一歩先に行きたかった」
—ひめかの引退を聞いた時はどんな気持ちでした?
「とうとう決断したなと、驚きはしなかった。ひめかとは、未来の話とか将来の話とかプロレス何歳までやるとか、ずっと何回もしたことがあって、本当に意志が固い。いい意味で。ひめかは言ってるんだと思うんですけど、アイドルになったときも20歳まで。20歳になったらやめる。自分で決めたことをやり遂げる。今25歳だと思うんですけど、自分が納得いく位置にいたらという条件はあると思うんですけど。その発表を聞くちょっと前に、ひめかどうなるんだろうと思ったんですよ。何の話もしてなかったんですけど、夢なのか夢じゃないのかわからない感情の中でふっと思い出して。で、引退の発表をされてたので。びっくりしたんですよ。驚きはしなかったんですけど、あ、決めたんだな」
—最後のシングル戦の感想は?
「関節技は、自分の闘い方にひめかとやる前から行き詰まってる感じで、もう一つ何か欲しいというのをずっと思っていて。関節技は私の苦手分野。頭使うじゃないですか。すごい苦手意識が強くて、関節技を考えることができなくて、放置してた分野だったんです。ファンの人たちにも関節技使った方がいいよという声があるぐらい。そうだなと思ってて、ずっと仕込んでた技でもあるんですけど。この間、朱里さん相手に関節技を出してみたんですけど、ちょっと手応えを感じて。これで取りたい!ひめかからこれで取りたい!ひめかは大きい、私は小さい。小さい私は、大きくてパワーがある人相手だと勝てないだろうと言われちゃう中で、大きい人からも取れる技をつくりたかったので、この試合は、フェアリー・ストレインとかブリンクじゃなくて、丸め込みじゃなくて関節で取ることにはこだわってました」
―記者会見でも無言。試合開始時も睨み合い、最後は握手しました。
「お客さんは、リングの上しか見れないのは当たり前で、リングの上で起きてることだけで、色々考えたり勘ぐったり、ストーリーを見ていくんだと思うんですけど。その裏には、表に出せないものとか、二人だけ、本人同士はわかってるんですよ。だけど、わざわざ出すことじゃないとか、出せないもの、関係性とか歴史はわかってるから。プラス出会った時からの歴史も走馬灯のように蘇るんですよね。ほんとに仲良かったよねだけじゃない、私は、ひめかは後輩だけど親友と言っちゃうくらい大好きで。スマホのデータホルダとかを見返してみても。バカなことやってたなという思い出がすごく深すぎて多すぎて。お客さんが見てるリングで行われてるストーリーだけじゃない5年間の私とひめかの奥底の走馬灯のような試合になるだろうと思ってたし、実際になったという気がします。細かい反省は毎試合ありますが、ひめかとの関係で言ったら良かったのかなと思います」
ひめかへのメッセージ
「仲良くしようね。ひめかの生き方はカッコいいなと思うし。すごい深い人間なので。それをよく見てきたので。あのひめかが、もう一回リングに戻ってくることはしないと思うから、最後まで、ひめかのプロレスを悔いなく、怪我なくやり遂げてほしいなと思います」
リング上でも親友と紹介された関口翔。
4月2日には、ひめかが要望した同窓会試合も実現。
「引退することを決めたことがびっくりですけど、自分の信念を持って引退することがすごいと思ったし、それに対して、自分の名前を出してくれたことに対しては、驚きしかなくて。ひめかとは、よく練習も一緒にしてたし、遊んでたし。ひめかがデビューする前も、全日本さんの道場に行って一緒に練習してましたので。向こうからしたら先輩だと思うかもしれないけど、自分からしたら、一緒にやっていく仲間、ライバルだと思って接していたので。こうして名前を出してくれたのは嬉しいですけど、自分も負けてられないなと最後まで、ライバルとして闘いたいなと思いました。スターダムさんには初めて出るので、いろんなものを吸収したいと思ってます。そこから自分の新しい扉が開けたらなと思っています。このカード、自団体初の後楽園大会だったので、どんなカードが組まれるのかというのと、組まれた時は嬉しかったし、自分達ができることを目一杯やろうと思ったカードだったので、思い入れはあります。試合の感じもなんとなく覚えています。ひめちゃんとは、やってるようでやってないんですけど。その1回1回が記憶に残ってますね。ひめちゃんが初勝利した時の相手は私だし、シングル挑戦トーナメントで当たって負けたのも覚えてますね」
ひめかへのメッセージ
「特になし。現役生活お疲れ様でした。デビュー前から、いろんな思い出があって、でも一番あの時に青春してたと思うし、これからも元気にお互い生きていきましょう!」
引退記者会見で名前を挙げられた関口翔のコメント
4月2日の後楽園大会で試合を終えた(左から)高瀬みゆき、ひめか、関口翔、なつぽい
—仲良くなったきっかけはどんなことでしたか?
「私は1月から(スターダムに)来てたんですが、DDM練習とか一緒にしていて。で、DDMに来てくれたときから、遠征とかバスとかも一緒だし。ホテルもコロナ前とかはツインで同じ部屋で。ほんとに四六時中一緒の時間が長かったんですよ。で、なんででしょうね。自然と二人の時間が増えていったというか。私は結構喋るタイプなので。めっちゃ、喋りかけてたんですよ。ひめかは、人見知りなタイプ。心開くまでに時間がかかるタイプな感じだったんですけど、ちょっとずつ心が開けていって。いつしか家族とも仲良くなって。私がJTOにいたときにひめかがセコンドに来てたんですよ。ひめかは、私のことをめちゃくちゃ怖い人だと思い込んでた。でも話しててイメージが変わったと。なんかきっかけというよりも、DDMにいることがきっかけなんですかね」
タッグパートナー・舞華のコメント
入場時にダンスを取り入れていた舞ひめぽい
—タッグベルトを一緒に獲りました。
「その当時、心開いて本当に仲良くて。なつぽいとひめかは昔から仲良いので。私的には、時間もそっちの方が長いし、私よりかはぽい。3人でいるとどっちかという感じだったんですけど。タッグが桃AZとかタッグ屋と言えるチームが少なくて。今でこそめちゃ増えたんですが、そういうのがいいよねという話をずっと喋ってて、タッグといえば舞ひめというふうにしたいよねと。自分たちでも、インスタライブやったりとか。二人でいる時間を増やして、週8とかいるぐらい(笑)。タッグとしてやっていこうという決意が強かったので。それで、ゴッデスのベルトを獲れたの。それがゴールではないんですけど、そこに行くまでの努力も、すごいやってた。コミュニケーションも練習も周りへの認知も。タッグだったらナンバーワンになりたいし。周りに、どう舞ひめという物を定着させていくか。SNS発信とかもやってましたね」
—舞ひめぽいについてはどんな想いでしたか。
「私的にはチャレンジでした。その前に、私ジュリア朱里でアーティスト獲っていて、ひめぽいというのは、私の色とは違うんですよ。可愛いというかアイドルというか。ジャンルが違う感じ。入場とかで踊ることとか初めてだったので。自分の中では、チャレンジトリオという考えでしたね。ひめぽいとしては普通なのかもしれないけど。私は、踊ってて楽しかったりとか、今まで、自分が、いいよ~と言って、ちょっと遠ざけてたものに一歩踏み出す勇気をくれたのが、そのトリオでした。舞ひめでゴッデス取ってた時は、カッコつけてたというか。試合中は表に出るものはカッコつけてた。SNSでは、ひめかが舞華がまたバカやってるとかはあるんですけど。でもリング上とか表に出る部分では、カッコつけてた部分があるんですよ。でも、リング上でもダンスして笑顔でやってみたいな。変わったものでしたよね」
—5★STAR GPでひめかとの試合がベストマッチ賞に選ばれました。
「手加減をしてるわけではないんですけど、ひめかになら何やってもいいや。誰よりも強い人なので。何やってもこいつなら大丈夫。何を受けてもこいつなら大丈夫。たとえ失敗してもコイツなら大丈夫みたいな。そういうのがあって、すごく、ワクワクしました。初めてのシングルマッチでニヤニヤしながら握手して、という感じだったという気がします」
スターダムでは初戴冠。2022年の5★STRA GPでは激闘を見せリーグ戦のベストマッチ賞を獲得した。
—現役最後の相手に指名されました。
「記者会見もリアルタイムで見てて。相談はされてたんですけど。引退ロードについてというのは、こういうのやりたいなというのはフワッとした感じだったので。そこで私の名前が出たこともシングルマッチをしたいというひめかの気持ちを見て。そこからですね。実感したのは。ひめかがいなくなるという実感がなかったんです。記者会見って表に出るものだから後戻りはできない。プラス、7uppのゴッデスに挑戦した時も、めちゃくちゃハードな試合になって死に物ぐるみで取りにいってでも負けちゃって。負けて戻ってきたときに、ずっとゴッデスにこだわってきたので、舞ひめで、挑戦することはできないんだと思った瞬間に実感が出てきたんですよ。(引退発表はされてないが)で発表があって。(指名は)嬉しかったのと同時に、私の涙腺が崩壊する日々が。もう引き戻せもできないし。今はだいぶ落ちついたんですけど。それから、ずっと夜は泣いてた。SNSでは笑顔で送り出したいと強がって言ってたんですけど。この前、私が勝ってマイクしたときに泣いちゃったんです。感極まって。そこから、みんながいるところでの初泣きだったので。ダメだこんなんじゃと、そこから、吹っ切るようにしてました。ちゃんとしっかりしなきゃいけないと思って。ちょっとずつ切り替えていきました」
—残りの時間。
「泣くのはやめよう。ひめかが記者会見でも、あんなに清々しく決意決めたんだとスッキリした顔でやってたし。多分、ひめかは引退するまですごく楽しんで笑顔で充実した引退ロードを歩みたいんだろうなと。一切後悔もなく全部をやり遂げるんだろうなというのはあるので、それを支えるだけだと思います」
ひめかへのメッセージ
「私の中で、特別で唯一無二の存在でした。リングは離れるけど、会えないことはないし。多分、一般人のひめかとお付き合いすると思うので、これからも末長く、よろしくお願いします。私の引退試合、見にきてね」
引退試合の相手を務める舞華