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Image by Olga Tutunaru

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Interview

No Guarantee vol.17掲載(2019年発行)

彩羽匠

女子プロレス・マーベラスの彩羽匠。スターダムに入団後、両国国技館でデビュー。

その後、長与千種が立ち上げたマーベラスに円満移籍したという女子プロレス界では珍しい経歴を持っている。

プロレス入りしたときから、「長与千種に憧れて」と紹介されていたので、

この移籍自体、周囲も納得のいくものだった。

2018年にはWAVEのRegina王座を獲得し、初めてのシングル王者にもなった。

最初からエース候補として期待されていた逸材が、いよいよ前線にでてきた!

Interview

Iroha Takumi

プロレスとの出会い

高校も大学も、剣道の推薦で行きました。高校の時に、授業の最後の10分間、Youtubeを見るというのがあったんです。三沢さんの事故(2009年リング過で死去)があったからなのか、トップ画面にプロレス関連のものが表示されていて。プロレスって名前は知ってるけど、よくわからない。北斗晶、神取しのぶという名前があって、北斗晶、知ってる!と思って見てみたら、衝撃を受けて。

闘いの中でもドラマがあって、感情も思い切り出すし、面白い!と。そこから、長与さんなんですが。その読み方がわからなかったんです(笑)。Youtubeの画面に出てきても。たまたま、自分の剣道の先輩のお父さんが長与さんの大ファン。現役当時の生中継をビデオ録画していて、「プロレス好きなら、これ見なよ」と。「あっ、読み方わからない人だ。でも見てみよう」。見たら、超ハマって。ダンプさんとの髪切りマッチも、何だこれは、ここまで賭けるのかと。それが衝撃的。同じような年代の人が、こんなに多くの人の前で髪を賭ける、どんな気持ちなんだろうと思いました。そこから、「プロレス好き」から「プロレスやってみたい」に変わったんです。

本当は、高校を辞めてプロレスラーになろうと思ってました。剣道で大学も決まりつつあったので、「プロレスよりも、まずは大学に進んでみようよ」と先生や親からも言われ、無難な道を選びました。でもやっているうちに、剣道の熱よりプロレスの熱が高まってきて。大学を卒業したら22歳だし。色々考えてそこからトントン拍子で、大学を辞めたんです(笑)。辞める前に、長与さんに直接会ってみたいと思い、その時に湯島にあった長与さんのお店に行ったんです。長与さんは「プロレスラーになりたいなら、大学で4年間、剣道をしっかり頑張って。それから進んだらいいよ」と言われました。会ったら会ったで、長与さんが言うこともわかるけど、もっとプロレスラーになりたいという気持ちが強くなって。福岡に帰って、大学をすぐに辞めて、上京して、スターダムに入団しました。その時、長与さんは、プロレスに関わっていない時期。長与さんも、プロレスの団体をつくるか迷われていたみたい。後々聞いたら、だから「4年間頑張って」と言われたんだと。

長与千種は、1980年代後半に女子プロレスブームを起こした大スター。引退後、自身の団体GAEA JAPAN(1995-2005年)を設立し活動を終えた後しばらくプロレス業界との関わりを持っていなかった。しかし周囲の後押しもあり2016年にマーベラスを旗揚げした。彩羽がYoutubeを見て長与千種のファンになったという経歴が伝えられたとき、時代も変わったなと思ったもの。リアルタイムで見ていない人のファンになってプロレスラーになる、という事実。この辺りの詳細から聞いてみた。

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Iroha Takumi

転機

長与さんが旗揚げすると聞いて、最初は、自分の感情を押し殺してました。でも、徐々に、この気持ちを押し殺したままやっていっていいものだろうかとか、人生1回しかない、後悔したくないと思って、そこから小川さん(スターダム社長)と話を何回かしました。最終的には、小川さんの根負けみたいなところはありました。自分もお世話になったし、変な別れ方はしたくなかったので。最初は否定でしたね。まだ旗揚げもしてない時だったし、どうなるかもわからない。

「形のないところに行ってどうなるんだ。いくら長与千種といえども、今の女子プロレス界は簡単じゃない」と。長与さんとは、「That’s女子プロレス(長与がマーベラス旗揚げ前に主催していた興行)」の九州巡業に連れていってもらったときに4日間だけ付き人をさせてもらったんですが、その時に、ほんの少しだけ他愛のない会話をしただけです。移籍の話とかしてないです。小川さんと長与さんが話し合いをしている間に「来たいの?こっちに」「はい!」というのはありました。で、双方納得の円満移籍になったときは、よかったなと思いました。この世界、辞めたと思ったら他の団体にいてということがあるんですが、そうなると団体同士の関係も悪くなるし、ファンの人からしても裏切りみたいになっちゃうと思うので。そこは、小川さんの柔軟さというか、円満にしてくれたことは感謝ですね。

それで、東京から白井(千葉県)の寮(マーベラスの最初の寮)に入りました。山だあ、何もなかったですね。(駅からの交通の便もよくなく、周囲に何もない立地)プロレスオンリーの環境は、ちょっと嬉しかったです。ガイアっぽい、昔の理想に近づいたのかなというのはありました。でも、人がいなかったので、どうしたらいいんだろうと思いました。それまでは、先輩がいっぱいいて、先輩がしていることを真似してという感じだったので。

最初に(桃野)美桜が入ってきてくれて、(門倉)凛は、プロレスラーになる気はなく事務の応募で来たんですが、プロレスラーになりなよと引っ張ってきたんです。彼女たちからは自分が一番年齢も近い先輩で、同じ寮生だったので、プロレスをイチから教えることになったんですが、自分もまだキャリア2年ちょっと。何が自分に教えられるんだろうと思いました。長与千種の遺伝子って言われるわけじゃないですか。自分がちゃんと教えなかったら、長与さんの責任にもなってしまうだろうし。

スターダムで世IV虎(現・世志琥)にまつわる事件が起こった日、彩羽のマーベラスへの移籍が発表された。団体トップ同士が合意の円満移籍ということだった。将来のエース候補でもある彩羽を他団体に差し出すという判断に驚いた人は少なくない。

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Iroha Takumi

スターダムに入団

自分、昔のプロレスしか知らなかったので、今のプロレスは知らなかったんです。上京する機会があった時に、興行があるところを見に行こうとなって、それが、たまたまスターダムの後楽園大会でした。それで、ここにすると決めたんです。他を知らないから。風香さんとやりとりして入団、そこからスターダムの寮に入りました。

長与さんのすごい多くの観客の中でやってる映像を見てきて、神取さんと北斗さんの試合も大きな会場で、そのイメージしかない。横浜アリーナとか、日本武道館とか。最初に連れていってもらった興行が新木場1stRINGだったんです。「あ、お客さんと近い、こんな会場でやるんだ」と思っていたら、ふだんはここで、ビッグマッチが後楽園ホールだと。今の時代ってそうなんだと正直思いましたね。昔はすごかったけど、今はこんな感じなんだあと。

2カ月でプロテストは合格したんですが、両国大会開催が決まっていたので、そこまでの半年ぐらい、練習をしっかり積んでからデビューという形でした。普通はデビューというと、新木場とか後楽園で、身内の先輩とやるわけなのに、里村さん(現・センダイガールズ主宰、ガイア時代の長与の弟子)とやるというのはびっくりしました。団体内だと一緒に練習するから、なんとなく手の内がわかるんですけど。まだデビューしていないし、プロレスも全然わからない。まずは、壊されない体づくりを頑張りました。あんな大舞台で、デビューさせてもらえるのは、ありがたいことだったので。期待を裏切らないようにしたいという気持ちはありました。練習しかしてなかったですね。朝昼晩と練習して、足の裏の皮も剝げてしまって。辛かったですね。周りも両国に向けて気合いが入る。だから、自分には構ってられない。でも自分は必死でしたね。

試合内容は、全然覚えてないです。入場する時に、初めてスポットライトを浴びる。普通に過ごしていたら浴びることはないスポットライト。あの両国で。スポットライトが眩しすぎて、リングがどこにあるのか、わからなかったというのは覚えています。周りからは「よかった」とは言われました。でも「デビューする時は、温かく見てくれるけど、その後大変だからね。両国でデビューしたのが期待ではなく、期待されているから両国でデビューだから」。スターダムの時に先輩から誉められることはなかったですね。みんな厳しかったので。

剣道つながりで世羅さん(アイスリボン)と組んだ時、プロレスの面白さを少し知った気がしました。それまでは、プレッシャーのかたまりで、試合しては「あー、ダメだった。どうしよう」という感じだった。今考えれば、新人で完璧なんてない。今でも完璧じゃないし、誰でも完璧じゃない。完璧な人なんていない。絶対反省があるわけですが、反省があることが「あーダメだ」と思っちゃう期間でした。自分、超ネガティブなんです。考えがネガティブ。世羅さんと組むようになって。歳も近くて、キャリアも近くて、二人とも剣道をやってたという中で、ふざけたりというのはないですけど、プロレスの遊びをちょっと覚えたというか、知りましたね。そこから、世羅さんと組んで、七海里(高橋七奈永と宝城カイリ)さんとタイトルマッチ(2014年12月23日)を、初めて後楽園のメインに立って。負けはしたんですけど、その年のベストバウト賞(スターダムの年間表彰)をもらって。その時に初めて七奈永さんから「たくちゃんの頑張りだよ」と誉められました。デビュー2年後ですかね。

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Iroha Takumi

マーベラスの旗揚げ

(マーベラス旗揚げ戦は、メインで里村との再戦)ぶっちゃけ言っていいですか。苦いですね。自分の中では、結構いけると思ってたんです。どこからか自信が沸いていて。自信満々でいったんですが、プロレスの難しさというか、どん底に落とされた自分でしたね。旗揚げ戦は、移籍してどう変わったか、自分のやりたいプロレスをやろうという意識があったんです。そのために長与さんは、旗揚げまでの期間、他団体にも出さなかったし、試合もやってなかったんです。自信満々で、久々にリングに上がって、準備もしてきて。でも久しぶりにリングに上がったら、お客さんに見られる感覚がわかんなくなって動揺して、「どうしようどうしよう」で終わってしまった。やり切って負けるならまだいいですが、「どうしよう」という迷いに中で終わってしまった。長与さんも同じ気持ちだったんだと思います。旗揚げ戦って、他団体にもお客さんにも注目されるだろうし、そこで、ちょっと違う自分を見せられたら、いいターニングポイントになればいいと思ってたら、「どうしよう」になってしまって、撃沈。

旗揚げしてしばらくしたときにツイッターで「どうして取材にきてくれないんだろう」とつぶやき、苛立ちを隠せない時もあった。

スターダムの時は、試合をするだけの立場。リング周りにカメラマンさんがたくさんいて、コメントブースがあってコメントするのが当たり前の環境だったんです。カメラマンさんたちも、旗揚げ戦は来てくださったんですが、時間が空くと、カメラマンさんが誰もいないという時もあって。これって、見に来た人にしか伝わらないことなのか。なんで映像とかも、撮ってくれないんだろう?自分たちがしていることが間違ってるんだろうかとか、自分の力不足とは思ったんですが、来てくれないなら来てくれないで、いつかドンと飛躍してざまあみろと言ってやりたいという想いはありましたね。なぜ、リング周りが殺風景なの?と。試合をして、その場で終わっちゃって何も残らないのは嫌でしたね。

理想のスタイル

ひと言で言うと「魅せる」なんです。プロレスでは当たり前のことではあるんですけど。難しいな、言葉にするのは。たとえば、女子プロレスには女子プロレスの「間」、男子プロレスには男子プロレスの「間」があるんです。現代の女子プロレスって「間」があまりないんです。その間を見せるためには、一発一発の技だったり重みだったりがある。女子プロレスって体が小さい人も多いし、パワーが男子よりない。ドロップキック一発にしても、女子は、すぐ相手が立ち上がってくる、それくらいの威力。そうすると、また技を仕掛けていかなければいけない。でも男子ってドッロップキック一発でダメージつけて、「間」ができる。男子ほどできないにしても、その「間」ができることで、お客さんと会話ができる。しゃべる会話ではなく、表現だったりとか、お客さんに伝えることができる。今の女子プロレスを、ちょっとでも、その「間」に近づけたいと思っています。

プロレスは、試合を通して相手やお客さんと会話ができる。言葉じゃなくても。相手に賭ける想いとかを自分だけが持っていても仕方ない。人間って隠しやすい性質。泣きたいけど我慢する。悔しいけど、そんなの見せたら恥ずかしい。プロレスで、お客さんと一緒に喜んだり。そういうのって大事。(旗揚げ1周年の)世志琥さんとの試合ぐらいから、自分の感情が押さえきれなくなってきて。世志琥さんとはいろいろあったので、感情が忙しかったですね。それがお客さんにも伝わったことによって、世志琥さんを知らないマーベラスのお客さんにも試合を通して、世志琥さんに対する自分の気持ちが伝わった。それをみなさんが良かったと言ってくださるんですけど、逆に周りの声を聞いて「良かったんだ」と思いました。そういうものって、練習とかではないもの。そういうプロレスがいっぱいできたらいい。

マーベラス旗揚げ1周年では、世志琥と対戦。お互いが納得の内容で、試合後の二人は、満足感いっぱいの笑顔を見せた。その前後からSEAdLINNNGやWAVEといった他団体からのオファーも増え、対戦相手の幅も広がった。彩羽が、プロレスにありがちなマイクパフォーマンスでアピールすることは少ない。言葉ではなく、行動で見せるタイプ。美闘陽子とのタイトルマッチ終了後、負けたわけでもないのに、ベルトを美闘の腰に巻いてあげるシーンを見た時、「なんて素敵な心のあるプロレスラーになったんだろう」と思ったことを強烈に覚えている。

Interview

Iroha Takumi

試合を通したコミュニケーション

(手の合う人は誰かという問いに対して)世志琥さん。引退された美闘さんもそうでしたし。七奈永さん。七奈永さんは試合を通してのコミュニケーション。世志琥さんは、自分が思っていることを受け入れてくれて、逆に返してきてくれた。美闘さんは、存在は知っていても、どういう選手かよく知らなかった。試合を通して、初めましてという感じで挑んだんですけど、初めてじゃない感じで、前から知り合いでしたっけという感じだったんです。七奈永さんは感情が強すぎて、「ウワー」とぶつけても「そうなんですね」という感じ。Sareeeさんは、体が小さいけど、気が強い。気が強いアピールされると自分も負けられないので、どんどんヒートアップしていくという感じでしたね。感情は出していきたいです。その感情を言葉で表現できたらいいと思いますが、そこは自分の弱点ですね。試合の前とかも、どんなに面白くなるんだろうとか思ってもらえることを言えたら。そうしたら、試合でもどんどん感情が上がってくだろうし。もっと喋る機会を増やした方がいいのかな。もうそろそろ結果をだしていかなければいけないし。

ベルトには興味はなかったんですが、巻いたときに、周りからの対応が変わりましたね。今まで自分がやってきたことをやって、タイトルマッチで勝って、そこにベルトがついてきたという感覚だったんですが。ベルトを巻いたら、試合をしたいという選手も増えたし。取材もしてもらったし。勝った証にベルトがついてきたと思ってたのが、ベルトを持つことで影響があったり。「マーベラスを自分がひっぱっていくんです」と取材でも言う。ベルトによって自覚が、すごく変わったので、ベルトの良さに気づいた。持ってみたら、ああこういうことなのかというのがわかりましたね。マーベラスにはベルトがないので、他団体から奪ってくるしかないんですけど。長与さんはつくらないと言ってますが。ベルトがあって、それを団体内で競うのも楽しいですね。

ありがたいことに、WAVEさんでは、タイトルマッチに呼んでもらったり、SEAdLINNNGさんでもチャンスを与えてもらったり、大事なところに呼んでもらってるのは、良い経験ができる。マーベラスではできない経験も積ませてもらってるし。対戦相手とか、タイトルマッチの緊迫感。スターダムの時もアウエイ感が楽しかった。自分の中では久しぶりですという感覚だったのが、誰だよ?的な反応で、上等だよという感覚が面白かった。ヒール向きかもしれない。一回長与さんに言ったことあるんですよ。「ヒールをやってみたい」と。そしたら「お前結果出してから言え」。仰る通りです。

長与千種イズム

長与さんからは、基本、反省は自分でしろと突き放されるんですね。それは、自分が一番わかっていることなんですけど。自分でわからなければ、これからの伸び代がなくなっていくから、自分でさがせと。マーベラスに入って、最初に言われたのが、「頭の先から指先、足先まで、すべてがプロレスだと思え。指先一つの動かし方、頭の動かし方、髪の毛の揺らし方、それが全部お客さんの目に入っているから、絶対に気を抜くな」と。前の団体で教わってないことを最初にパンと言われて。それが衝撃的。ただ技をやればいい、受けていればいい、勝てばいいとかではない。自分が捉えていた物から外れたことを言われたので、それは衝撃的でした。印象に残っています。

長与さんは、携帯で試合の映像を撮ってくださるんですね。最初は見るのは嫌だったんですけど、今は見ます。恥ずかしいんです。でも、お客さんの反応が良かったとしても、意外と自分の目線で見るとショボっと思ったりするんです。練習で10回中10回できないと試合でやっちゃいけないと思っていて。失敗は見せちゃいけないけど、相手に怪我をさせちゃいけない。落とし方一つにしても数ミリの世界ですから。危ない落とし方一つにしても。試合中に、練習と違うとちょっとでも思うと、めちゃくちゃ反省しますね。怖い技とか自分が危険な技とかは、アドレナリンが出てないから練習ではやらないけれども、本番では、お客さんが見てくれているからできるというのもあります。怖いこともできちゃうこともあるんですけど。例えば1回できても次できなかったら意味ないと思うので。

後輩の子にも教えてますね。例えばプランチャをやるときに、指先を開くのか閉じるのかとか。どうせやるならカッコいい方がよくない?と。長与さんから教えてもらったことは、自分なりの解釈で教えています。長与イズムって、深いところにあると思うんです。技とか受けの美学というより、人間性だと思うんですね。人の痛みだとか、悲しさ苦しさを共有したり寄り添ったりできないと、自分が苦しいこと痛いことされても、相手には伝わらない。相手の気持ちを知ろうとしないといけないと思うんです。深すぎるんです。いろんなことがあるので。長与さんに教わった人たちを見ると、備わってると思うんですよね。みんなそれぞれカラーは違うけど。挨拶ひとつから教わっている。そういうところから、長与さんは教えてきたのかなと思います。私も、挨拶できない子にはプロレスを教えないし。ごめんなさいを素直に言えないとやらせないというのはありますね。

プロレスって正解がない。よく後輩が色々言われて反省して落ち込んだりしてるんですけど、「自分でも反省がないときはないよ。100人いたら100人の受け止め方があるし、見方もある。正解がないんだから。完璧を求めるよりも、自分が求めるプロレスラーになることが大事。くよくよするんじゃなくて、それをプラスに考えることが大事」。何も言われなくなったら、自分は終わりだと思うので。

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Iroha Takumi

<長与千種からのエール>

 ロッシー(小川=スターダム社長)がよく言ってたのは、「センスがある子だよ」。スターダムの時とはまったく逆のことを教えたんだよね。真逆の体の作り方をさせて。若い子たちの中のリーダーだから、引っ張っていかなければいけないじゃなく、先頭に立てよと。引っ張っていかなくていい。引っ張っていかなければいけない選手なら蹴落としていけばいい。置いていけばいい。どんなに大変な道でも、先頭を歩いていけ。そういう気持ちがいっぱいあった。2、3回、病院送りされてるから。練習でも、普段でも。スタッフが止めに入ったよね。やめてくださいって。長与のところに来たんでしょう?と、すべて変えました。メンタルも考え方も。それを受けきれなかったらそれまでだし。厳しく、多分、マーベラスの中で、一番厳しくやられてる。先頭を歩くということは、どんなことが起こっても、先頭を歩かなきゃいけないってことだから。何があっても。

最近は取りこぼしがない。ロッシーが言ってたセンスがいいというのは、わかった。プロレス勘がとてもある。どの選手とやってもできる。現状に甘えない。常にプロレスばかり見てる。あれぐらいの歳だったら飲み歩いたりとか、あってもおかしくないけど、それを一切しない。だから、ある意味、申し子なんじゃない?
 団体としてはベルト持ってないし、つくるつもりもない。だから欲しければ獲ってこい。トーナメントやタイトル戦は、自分が試される。でも必要以外のところは行かさない。彼女は、ベルトを獲ったけど、まだバージョンアップしてない気がする。もっとできると思ってる。来年も再来年も楽しみ。いまどき、外人と良い試合できる奴っていないから。それは、やっぱりうまいんだよね。センスがあるんだよ。そこだけに収まらずに。長与の役割は、教えることだけじゃなくって、メディアに出て、あいつを引っ張りだすことだよね。お互いに頑張りましょう。

プロフィール

1993年1月4日、福岡県出身。2013年4月29日、スターダム両国国技館大会でデビュー。2015年2月、長与千種が立ち上げた「Marvelous」に円満移籍。タイトル歴:Redina de WAVE(第10、14代)、WAVE認定タッグ(第20代=パートナーは門倉凛)、アーティスト・オブ・スターダム(第6代=パートナーは紫雷イオ&岩谷麻優)、BEYOND THE SEA SINGLE(第2代)

「Marvelous」公式サイトはこちら

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