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ひめか

INTERVIEW

vol.2

ここでは改めて、スターダムでの闘いを振り返ってもらった。

2020年6月のスターダム参戦時、リングネームもひめかと変えて、体を絞ってイメージチェンジを図り登場した。
「スターダムに来る時にコロナ禍になっちゃったので、それで、変わらないままのひめかとして来たとしても、ファンにも受け入れられないと思うし、それこそ内部の人、運営にも受け入れてもらえないと思ったので。苗字を捨てたからには、何か違う、別人のひめかとして現れないといけないなとは思っていたので。そのくらいの決意はありました」

ひめかが参入した頃のDDMメンバー(右から舞華、朱里、ジュリア、なつぽい、ひめか)

参戦してすぐに、ジュリア、朱里、舞華が属するユニット「ドンナ・デル・モンド(以下DDM)」のメンバーに加わった。
「とにかく必死でしたね。DDMは出来上がったユニットじゃなくて、これからのユニットだったので。元々の、ジュリア、舞華、朱里がいたから、そのイメージを崩さないように。あとは、その3人に肩を並べるように、必死だった。自分がああしなきゃこうしなきゃというより、ついていくことに必死だったし、馴染むことに必死だったなと思います。印象としては、女性ならではの負けん気の強い人が多いなと思いました。だからこそ、甘い気持ちでやっていたら、怪我するし壊れてしまうなと思ったので。自分は、それまで負けん気というのがなくて生きてきたので、そこを出さないとひめかというものが終わってしまうなと思いました」
参戦初年度の5★STAR GPでは、決勝進出。リーグ戦で同ユニットのジュリアに勝利したことで、ジュリアが持つワンダー・オブ・スターダム王座(以下白いベルト)にも挑戦(2020.10.29)。年明けの新日本プロレスの東京ドーム大会にも出場。
「必死すぎて1試合1試合を覚えてないんですけど。自分がスターダムに来て、何か結果を残さなければという気持ちで必死でしたね。DDMにとっても新メンバーが足手纏いになったら良くない。ここで5★STARという歴史のあるリーグ戦で結果を残したら、メンバーに認めてもらえる。お客さんにも認めてもらえるという気持ちだったから。こういう結果が残せたから今があるのかなと思います。ジュリアに5★STARで勝った時、ジュリアがスターダムに来てシングルで初めて負けた相手が私だったみたいで。もちろんベルトは欲しいと思ってました。何か自分の結果を残さないといけないと思っていたので。でも、ジュリアが持つベルトだったから欲しかったのかもしれない。あの時は。今だったら、目の前の事よりも少し先のことを見て行動するんですけど、あの時は、そんなこと考えられないので。ジュリアに勝った、じゃあジュリアが持つベルトに興味がある、だから挑戦しようという単純思考。でも、あの試合でも、ひめかの強さというものを見せれたんじゃないかと今は思います」

なつぽいとのコンビでゴッデス王座に挑んだが、ベルトには手が届かなかった

ひめかがスターダムに加入してしばらくして、かつて同じ団体で仲が良かったなつぽい(参戦前のリングネームは万喜なつみ)がDDMに加わった。早速コンビを組んで、ゴッデス王座に挑戦するも王座奪取はならず。
「もともとプライベートで一番遊んでたんじゃないかという先輩で、すごくお世話になっていて大好きな選手の一人だったんですけど。DDMのイメージと真逆な選手。どちらかというとDDMはカッコよく独立している女性というか誰にも頼らない孤立している女性というイメージだったんですよ。でもなつぽいは、みんなに愛されて、周りに囲まれてキラキラしてる可愛らしい女性というイメージだったから、そういうなつぽいが、どうやってDDMに馴染むんだろうとは思っていました。自分はDDMに馴染むために、髪型も変えて、メイクも変えて、体も変えてとやったから、どうなるんだろうと思ったら、なつぽいはなつぽいのままで、DDMを自分の中に取り入れていた。という姿を見て、それでも5人のDDMが完成していた姿を実感して、あっ自分が馴染もうとするんじゃなくて、自分というプロレスラーにDDMを取り込むことができるんだなと思いました。その時から、ジャンボ・プリンセスというデカいはかわいいに特化できたので。なつぽいがいなかったら、私はDDMのひめかという意識しかなかったと思います。お客さんが、ひめかというものに何を求めているのか、ひめかの中の何を見たいのか、ということを考えられるようになりました」

パートナーを舞華に替えて、ベルト獲得

その後、パートナーを舞華にチェンジしゴッデス・オブ・スターダム王座を奪取した。(2021.01.30)。女子プロレス27年ぶりの日本武道館大会も王者として登場したが第0試合という屈辱も。
「なつぽいとのタッグというのは、自分の中では、舞華と組むのとは違う感覚というか、自分がデビューした時から隣にいた先輩とのタッグだから、共に闘ってる人とは違う感覚のタッグ。バランスも、パワーと小さいの。見栄えも良かったなと思うんですけど。今となってはアンバランスよりも似たような試合スタイルの舞華と組んで、舞華と私、試合スタイルは似てるけど、中身が違うんですよ。性格がまったく真逆。その方が噛み合うと思うし。それがベルトを獲るのに繋がったのかな。武道館に立てたのは嬉しかったんですけど、第0試合。タイトルマッチが第0試合なんだあ。タイトルマッチが第0試合って普通ありえないと思うんですよ。本戦が全部タイトルマッチだったら仕方ないと思うんですが、そうではなかったので。あっスターダムの中で、ゴッデスのベルトってそういう位置付けなんだと思ったし、私と舞華の評価も、その程度なんだと。立てたのは嬉しかったけど、悔しい思い出ですね」

日本武道館でタイトル防衛後の舞ひめ

その後、2度目の防衛戦直前に腰を痛め、王座転落、そして欠場に。
「気持ち的に落ち込んじゃう感じはありました。落としたのは同門対決だったんですけど。その2日前に腰をやったんですよ。歩けない状態で。痛み止めの注射をして出場して。今、試合を振り返ったら、舞華しか出てないんですけど。自分の全てを出し切れない試合で、ベルトを落としてしまう。そこから、シンデレラとか始まったけど、体のことを考えて、欠場することになった。それまでが、ドドドドっときたので、その反動が体にもきてしまったし、こういうことになってしまったのかなあと。めっちゃ病みましたね」

アーティスト王座を名古屋で獲得

復帰後、すぐにアーティスト・オブ・スターダム王座を、なつぽい、舞華と共に獲得。防衛記録7回というトップタイの記録を作った。
「欠場中は、それこそ舞華とかDDMとかに支えられましたね。会場には行ってました。プロレスに触れていないと、自分は気持ちも離れてしまうなと思ったので。プロレスに触れていようとは思ってました。“プロレスラーとしては、怪我するのは当たり前なんだから、そこで折れちゃダメだよ。手術しなくても治る怪我なんだから大丈夫だよ”と言われて、確かにそうだなと思いましたね。アーティストは、コズエンから取りたかったので、絶対防衛しとけと言ったら、頑張って防衛してくれてたので、願いが叶った。V字回復の上がりかけ。舞ひめぽいで獲れたのは、自分の中では嬉しくて、大好きななつぽい、スターダムで知り合って大好きになった舞華、その3人で組めたのは、お客さんも大好きだったろうし。私が大好きなことは、お客さんも大好き、私が楽しいことは、お客さんも楽しいと思うので。あの3人を超えるトリオはなかなか現れないんじゃないかなと思いますね。防衛記録も最多タイ。コズエンと並んでいて、まあ悔しいですね。あと1回防衛したら更新できたっていうことですから。賞金マッチで防衛数稼いでるんです。1日で2回。あと12月になつぽいが舞台に入るからって1カ月位なかったりしたので、長い期間持ってたという記憶があんまりない。半年間持ってたという記憶がなくて、あっという間。こんなに短かったんだと。舞ひめぽいとしては、もう少しやりたかったなという気持ちが強いです。もっとお客さんも見たかったと思うし、舞ひめぽいというものは、もっと上に行けると思ってたので。心残り。もっとやりたかった」。

赤いベルトを賭けて朱里に挑んだタイトル戦では、場外へ飛ぶなどの初めてのムーブも見られた

アーティストのベルトは落としたものの勢いは止まらず、朱里が持つワールド・オブ・スターダム王座(以下赤いベルト)に挑戦。王座奪取はならなかったが、それまでとは異なる試合展開を見せ、期待感を大きくした。(2022.04.29)
「体の回復力も高いし、体も強いので。痛めてもすぐに治るので、心配なくやってました。他の選手ができないことはしたなと思っていて。赤いベルト白いベルト、IWGPのDDM選抜、5★STARのベストマッチ。結果に残るものは残せなかったんですけど、文字にしたら、赤と白、絶対挑戦できないじゃないですか。それこそIWGPに絡んだりとか。アーティスト持ってたし。スターダムの1選手として、やれることはやったという勢いだった。挑戦できるもの全てに触れたので。それで結果が出なかったのが、今の引退につながったというか」

5★STAR GPでの舞華とのシングル戦はベストマッチに選ばれた

KAIRIの欠場で急遽決まった、上谷沙弥との白いベルト戦(2022.08.21)は、本人が認めるベストマッチと言って良い内容だった。5★STAR GPでの舞華戦もベストマッチ賞を獲得。初代IWGP女子王者決定トーナメント(22.10.22)でもDDM代表としてエントリー。タイトル獲得などの結果には結びついていないが、内容的には、充実した25歳のひめかの1年だった。
「ベルトは何回も挑戦するものなのかというと、私の中では違うと思っていて。挑戦すればするほど、確かに強くなると思うし。試合もメンタルも強くなる。でも、欲しいと思う気持ちって、一番最初が、一番強いと思うんですよ。1回目獲れなかったら、次は悔しさが入ってくる。悔しさがない純粋に欲しいという気持ちが強いと思っていて。そこを私の中では大切にしていたので。赤は初めて。白は2回目だけど急遽決まって。お客さんの声出しがダメだった時期だったんですけど、お客さんの声が聞こえるぐらい盛り上がった試合だったんですよ。誰もが、あの時、ひめかが獲ると思った試合だから。そこまで、お客さんを感動させて、DDMのメンバーも試合中泣いていて。それくらいやっても獲れないベルトなんだなと思って。だからこそ、私は、それまでの全てを出したけど、上谷沙弥に敵わなかった。じゃあこれ以上何をすればいいんだろうと、普通の選手だったら追い求めるんだろうけど。私は、これ以上追い求めたら、自分自身が潰れてしまうと思って。気持ちの面ですよね。そこが大きいと思います。去年は、違う扉を開くこともできたし、今までの全部を出すことができたから。他に何ができたんだろうと思ったら、ないんですよ。ベルトを取れなかったこと以外。全て、ひめかというものをやったので、悔いがない。そりゃあ、自分でも勿体無いなとは思いますよ。自分の周りでここまできてる選手が辞めると言ったら、辞めるの?ってなりますもん」

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