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なつぽいとSareeeの親友物語 2024.03.09 スターダム



 2024年3月9日、スターダム横浜武道館大会でなつぽいが5カ月半ぶりにリング復帰した。2023年10月に欠場発表された理由が頸椎ヘルニア。日常生活では支障がなくてもプロレスのリングではリスクが伴う。完治が見えない症状だった。復帰戦のカードは、欠場前、一緒にタッグベルトを持っていた安納サオリと組んで、Sareee&橋本千紘組と対戦するというもの。なつぽいと安納は、デビューした団体での同期、なつぽいと橋本はセンダイガールズのリングで互いを認める闘いを見せてきていた。Sareeeと橋本もライバル関係が続いている。4人がそれぞれに関係性のあるスペシャルなカードでもあった。


 なつぽいとSareeeの出会いは2016年に遡る。二人が所属していた団体は異なっていたが、Sareeeの師匠といえる伊藤薫がなつぽいが所属するアクトレスガールズにゲスト参戦した流れで、なつぽい(当時のリングネームは万喜なつみ)とSareeeのシングル戦が決まった。しかし、当時のアクトレスは技術レベル的に不安視されていたため、危険を回避するため、Sareeeが当時所属していたディアナの道場へ通うようになり、一緒に練習する機会が増えた。そこで同学年ということもあり意気投合したのだ。2016年9月の初シングル戦を経て互いを認め合うようになり、シングル戦の2カ月後には初タッグ結成。その後も、タッグを組む機会が増えていった。

 また、団体の垣根を越え、二人でファンイベントを開催したこともあった。


写真左から、初シングル対決(2016.9 .19)、初タッグ(2016.11.12)、初タッグでの連携

2017年2月14日、川崎で行われたイベントでは、お揃いの衣装で登場


 その後、なつぽいは2018年末にアクトレスを退団。東京女子に活動の場を移し、2019年8月には初タイトル獲得。しかし初防衛戦で怪我を負い欠場となった。その復帰戦が2020年1月に行われたが、その相手を務めたのがSareeeだった。約4年ぶりの対戦だった。

 なつぽいの欠場中に開催されたSareee自主興行(2019年12月3日)では、リングアナを務めた。この時のメインがSareee&朱里vs岩谷麻優&彩羽匠。ここでSareeeは岩谷と遭遇しタイトル戦が決まったものの、寸前で中止。その後、SareeeはWWE入りが決まり、2020年2月から渡米。二人のリング上での接点がなくなった。


2019年12月3日に行われたSareee自主興行

 Sareeeは2023年に帰国、「Sareee-ISM」という自主興行を開催しているが、なつぽいはスターダムに移籍しており、接点を持つ機会がなかった。

そして、今回のなつぽい復帰戦。試合後に二人に話を聞くと、その言葉のキャッチボールに仲の良さが現れていた。


---今回のカードはなつぽいさんのリクエスト?

Sareee「 オファーをもらったので、すぐに受けました。二つ返事で」

---クリアする課題はなかった?世間では色々言われてるじゃないですか。

なつぽい「私が、復帰戦のカードをわがまま言っちゃったんですけど。会社に提案させていただいた時には正直難しいと思います、いろんな壁が多いと思います、みたいなことも言われて、別カードも提案されたんですね。っていうことはあったので、やっぱりこう何とは言えないかもしれないけど、いろんな壁はきっとあったんだろうなとは思うし、そこから会社も頑張ってくれた。Sareeeと仙女さんも、多分色々あったかもしれないけど、最終的にみんな、“なつぽいの復帰戦なら”みたいな感じで言ってくださって。集まってくれたのがこの結果というか。だから多分いろんなしがらみがあったと思います」

---その4人の顔ぶれは、それぞれに色んなストーリーがあったりするじゃないですか。で、それが絡み合ってこういうカードが実現したっていうのはすごいなと思って見てたんですけど。なつぽいさんの復帰をみんなが温かくやってる感じがすごく伝わってきました。実際どうですか?

Sareee「実際、入場してきた時に、涙をこらえきれなかったというか。涙は出てないんだけど(笑)。本当に涙が出そうでやばかったです。堪えるのが大変でした」

なつぽい「それで言ったら、私もSareeeが入場した時、Sareeeのあの曲がスターダムのリングで流れてるのを聞いたら、一気にぶわっときちゃって。なんか絶対泣いちゃダメと思って、泣かなかったんです」

Sareee「泣かなかったんかーい」

なつぽい「お互い泣いてないんですけど(笑)。でも、もうなんか涙目で。こんな感じで」

Sareee「それそれ、本当それでした。5カ月欠場して、気持ちは本当に元気で前向きでしたけど、首のこととかもあったので、悔しい思いも少なからず、めちゃくちゃしてると思うし。そういうのを分かってるからこそ、本当に良かったなと思って。ハイ、溢れ出そうでした。泣かなかったけど(笑)。本当に危なかった」

---二人の繋がりは色々あったし、SareeeさんがWWEに行った時も、当然連絡を取りあってるわけですよね?

Sareee「 電話とかしてたし、(日本に)帰ってきた時は必ず会ってましたし」

なつぽい「お互い、夜更かしだし。だから時差があっても」

Sareee「まるまる時間が違ったんですけど、起きてくれてるので。なかなか起きてないじゃないですか。みんな朝方なんで」

なつぽい「“今から寝るところ”“今からトレーニング行くところ”、みたいな感じ。時間差で」


---Sareeeさんが帰国して、なかなかリング上での接点っていうのはなかったけど、ここに来て実現しました。今まで振り返って何があったのかなと振り返ってみると、大きな区切りで二人は絡んでるなっていうのがありました。

なつぽい「そうですね。二人で組んだりとか、前のアクトレスの時とか、よくやってても、ずっと同じリングにいるっていうことはなくて、お互いに団体も違ったし。すぐに私が東京女子に行ってとかで、絡めなくなったりとか。でも、大事な時に、またいて、みたいな。ずっと一緒にいるわけじゃないのに、ここぞっていう時とか、一番大事な時っていうのは、常に絶対に、そばにSareeeがいるのが私のプロレス人生なんですよね」

---二人は親友?

Sareee「本当にそうですね。いろんな人に、多くの人に知ってもらえてよかったです。うちらが親友ってこと。知ってもらいたかったよね。やっぱ困った時は助けたいし、助けてもらいたい。助けてくれる存在だとほんとに思ってます。確信しましたね。今回で。ハイ!」
なつぽい「今までありがとう(笑)」

 Sareeeは2023年の帰国時の会見をIGFで行い、アントニオ猪木さんの「闘魂」にふれ、「私がやりたいプロレスにぴったり。IWGPは猪木さんがつくったもの、だからIWGP女子のベルトは私が巻くのがふさわしい」と語っていた。なつぽいは、2022年夏にユニット変更を行った際に「革命を起こす」と宣言しており、今回の復帰戦を前に週刊プロレスの表紙を単独で飾り「ぽいレボリューション」が大きく取り上げられていた。


なつぽい「なんか一つの答えを求められるんですけど、何それ?っていうのをずっとやり続けることによって、革命っていうものが見えてくるというか、明確になるというか。みんながなつぽいは革命家だよねって言ってくれるところまで、私は頑張りたいなと思ってます」

Sareee「 ちょっとでもよくわかんないっていうか。でもすごいなと思います。常に目標があって、そこに向かって走っている。ずっとそうじゃないですか。だから、なつと一緒にいると自分も頑張んなきゃって思うし。もっともっと頑張ろうって思える。だから、それこそ違う道かもしれないけど、本当にその裏では繋がってると思ってるので。だからこそこうやって今日みたいに、また出会える時が来ると思うし、本当にいつも刺激をもらってます」

---ぽいレボとSareeeさんのストロングスタイルが融合することってあるんですか?

なつぽい「今日、融合したんで」

Sareee「常に毎日融合してる」

なつぽい「デビューして出会った時から、『道は違えど目指すところはただ一つ』っていう、うちらの合い言葉があるんです。お互いの目標って多分違う。だけど、お互いが頂点を目指してるのは一つっていう合言葉なんですけど、“道は違えど”なんだけど、もしかしたら道も一緒かもしれないって、最近ちょっと思う瞬間があって。明確には言えないですけど。いつも明確には言えないですけど(笑)」

Sareee「そうですね。そう思います」

なつぽい「ほんとか(笑)」

Sareee「なんか不思議ですよね。こうやって同い年で出会って、ずっと仲良くて、今があると。何か前世で繋がってる。これ言うと気持ち悪いって思われる」

---でも二人とも確実にステップアップしてる。

Sareee「だからお互い一緒にいて成長できてるじゃないですか。それってすごいと思うんですよ。本当にすごいと思う」

なつぽい「私、結構、嫉妬深いから、同じユニットとかでも、この人がベルト取ったら負けたくないとか思って。同じユニットで仲良くても思うことはあるんですよ。でもSareeeだけは、表にどんどん出てったりとか、活躍してる姿を見ると、嬉しくて仕方がないんですよ」

Sareee「自分もそうなんですよ。ほんとにこないだの表紙とか、めっちゃ嬉しかったんですよ。ほんとに。そういうのって、普通だったら悔しいって思うのかな。多分。思うんですよね。なんか悔しいなって。自分も頑張りたいなって。もちろん頑張りたいとは思うけど。なつに関しては、もう本当におめでとう。すごい、としか思わない」

なつぽい「私も本当にそうなんですよね。珍しく。結構負けたくないって言うじゃないですか。ポートレート何枚売れてました?とか言うじゃないですか。だけどSareeeにだけは本当に思わなくて、全部が嬉しいんです。心の底から」

---すごいですね。そういう関係性ができていて、何でしょうね。

なつぽい「前世で(笑)」

 メイン終了後、Sareeeはリングイン。岩谷が持つIWGP女子王座への挑戦をアピール。4月27日、横浜BUNTAIのプロレスこけら落とし興行での対戦が決まった。


Sareee「やっとだなという感じですかね。私の中でも、ずっとモヤモヤしてるものがあったし、岩谷選手にも、スターダムのファンの方にも、本当に待たせたなっていう感じですよね。申し訳ない気持ちはあるので、ケジメをつけたいなって思いますね。チャンス、スターダムに初参戦して、こういうチャンスをくれた親友、そこもね、繋がってますよね。せっかくのそのチャンスを逃すわけにはいかないなと思ったので」

---今日に限らず、岩谷さんだけじゃなくて、ジュリアさんとやりたいとか色々あると思うんですけど、やっぱり参戦継続していく感じですかね。

Sareee「はい、IWGPのベルト戦は決まったので、あのベルトは必ず自分の腰に巻きたいと思います。帰国した時から、あのベルトを巻きたいって、ずっと言ってきたので、やっとやっとだなって感じです」

---なつぽいさんはどうですか?

なつぽい「本当にやらなくちゃいけないことがいっぱいあって。主にサオリとのことが多いなっていうのはありますが。このスターダムのリングの中でやんないといけないことっていうのは、あのベルトもあのベルトもというのがあって。だから休んでる暇はないなという感じです」

---今後の活躍を期待しつつ、エールを送り合ってもらってもいいですか?

なつぽい「私はどこのリングにいても、Sareeeの活躍は絶対見てるし、活躍すればするほど、すごく嬉しいし、それがまたこうやって同じリングで交わったりとか。本当に、このリングのこの一戦だけで終わりじゃないと思ってるので、どんなことがあってもリングってプロレスラーでやってるうちは繋がってるなっていうのは、短いプロレス人生で感じてるところがあるので。Sareeeとは、まだまだリングの上でも会える気がするし。またできるのも楽しみにしつつ、Sareeeの活躍をいつも見てます。応援しています!」

Sareee「本当に私も同じなんですけど、なつぽいの活躍は本当に楽しみなので、いつもね。だから、親友としては、怪我に気をつけて、本当に怪我には気をつけてほしい。お互い様ですけど。怪我には気をつけてほしい。本当に怪我しないでほしいです。幸せですって、ただただ笑っててほしいです。でも悔しいこと、辛いこととかいっぱいあるじゃないですけど。そういう時はやっぱ頼ってほしいし、(私がいるから)いるから大丈夫だよ!」

Image by Olga Tutunaru

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