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Image by Olga Tutunaru

SPECIAL

SPECIAL Interview MIRAI

No Guarantee web magazine(2024.9)

MIRAIは岩手県宮古市出身。海沿いに位置する宮古市は2011年の東日本大震災で大きな被害に遭った。現在は観光親善大使も務めていて、2024年6月には念願の宮古大会開催も実現した。そのMIRAIのストーリーを紹介。
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MIRAI STORY

SPECIAL Interview

Mirai

兄への対抗心から柔道を始める

MIRAIは6つ上の姉、5つ上の兄がいる3人兄弟の末っ子として育った。子供の頃の夢は「お医者さんになる」こと。手塚治のブラックジャックにはまったのをきっかけに医者がテーマの作品を見まくり、「Dr.コトー先生のように優しくて、ブラックジャックとか医龍みたいに腕のいい先生になる」と言っていたという。

また、小学4年の時から柔道を始めた。きっかけは「兄が5歳上なんですけど、学校が小さいので、やりたい部活がなくて、いやいや柔道部に入ったんです。いやいや柔道部に入ったやつが強くなるわけないじゃないですか。学校では、誰も投げれないので、家で、自分のことを投げてきて、いじめてくるので。やり返したい!と思って。小3の時に、親に話したら本気か?と。1年経って、やりたかったらやらせてあげると言われて。1年経ったら、親はそんなこと忘れてたんですけど。1年経ったよと、そこからですね」。通ったのはいわゆる街の柔道教室だった。「やったことないことをやっている楽しさ。あと先生にも恵まれていたので、“楽しい楽しい”でやってました。組んでやられて。ヒューって飛んで技アリ。技も掛けられてないのに技アリとか(笑)。そのまま抑え込まれて、何もしてないじゃん、でもへへへと笑って帰ってくる。親が、礼儀を大事に育ててくれたので、礼で始まり礼で終わるという競技は自分的には合ってたと思います」。中学になってからは、中学から柔道を始める子もいる中、「自分は小学校からやってるぞ!といいうのはあるし。勝ちっていう部分を意識しました。中学、高校の時は、楽しいだけじゃない。柔道で、よく言われるのが立ち技はセンス、寝技は努力。やればやった分だけ。自分は力がなかったので、寝技に面白さを感じてました」。

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SPECIAL Interview

Mirai

プロレスにはまる

MIRAIがプロレスとつながったきっかけが、柔道だった。「柔道教室の後輩がレスリングもやっていて、そのレスリングの先生が、新日の棚橋さんと繋がりがある。その後輩は棚橋さんのことをめっちゃ好きで。めちゃ語られて(笑)。じゃあ行ってみようかとなって、実際に行ってみたら、カッコいい!となって。プロレスが好きになリました。そこから、チャリティでくるプロレスは全部見に行ってました」。そして、中学の時、MIRAIが通っていた学校に、リアルジャパン・プロレスが主催した巌流島のチャリティ大会(2012年5月5日)への招待がきた。前年に宮古市出身の日本人初のムエタイ王者・藤原敏男が初代タイガーマスクとチャリティ大会を催したところからのつながりだった。MIRAIのプロレス・デビュー時に会見が行われた際、「初代タイガーマスクの秘蔵っ子」として紹介されたのも、この縁からだった。

「キラキラして見えてました。この人たちすごい、空気変えて、周りの人たちを盛り上げて」。完全にプロレスに魅了されたMIRAIのベクトルは「医者」からプロレスへ変わっていった。

高校卒業時に進路を考えていた時、柔道の先生は大学でも柔道を続けた方が良いと勧めてくれたが「1位になったとかじゃないのに、大学でも続けた方がいいと、大学の先生が誘ってくれました。でも、自分の心はプロレスに向いていたんです」。就職するとしたらを考えると「満員電車に揺られて定時出勤するのは嫌だなあ。好きなことを仕事にしたいなあ、好きなことは何だろうと考えたら、プロレスだよなと思って、最初はトレーナーを思いつきました。柔道もこれで終わりももったいない。プロレスだったら、一石二鳥どころか、全部叶う。好きなことを仕事にできる。プロレスに関係していて。柔道系も取り入れて。あっ、なるしかないじゃん!となリました」

そこから周囲の説得が始まった。懇意にしていた新間寿氏に母親が相談すると「やめさせなさい」と反対された。「多分、キラキラしただけの楽しい世界じゃない厳しい世界だからだと思います」。そんな時に姉の助け舟が功を奏した。「姉はサバサバした性格で“みらいのあの性格上、ころっと変わるの無理なんだから反対しても無理でしょう。一回やらせてみて、自分で無理だと思ったら諦めるだろうし。“と両親を説得してくれました」

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同期の稲葉ともかと

NEW BLOODで実現したタッグ

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Mirai

プロレスラーへの道

プロレスをやると決まったら、次は、どこの団体に行くかということになる。東京女子、KAIENTAI DOJO、などの団体に話を聞きにいったり、アイスリボンやみちのくプロレスのプロレス教室に参加した。「強くなりたいと言う気持ちが強かったので、男子もぶっ倒してやるぜ、みたいな気持ちでKAIENTAIで強くなろうと決めました。女子プロレスはあることは知ってたんですが、見たことはなくて。知らないことがいっぱいあったんですね」

同じタイミングで入った同期に現在はJTOに所属する稲葉ともかがいる。「二人の両親が“できれば寮があるところに”という希望があったことから、TAKAみちのく代表が寮をつくると。自分とともかがいる時だけ女子寮がありました。自分たちが抜けたら無くなりました(笑)。ともかとは相部屋でした」。

慣例として練習生には、基本ギャラは発生しない。

「最初の3カ月間は、バイトが禁止なので。3カ月分の寮費を先に入れて。あとは、KAIENTAIのリングがある建物の上に男子が寮として住んでいて。そこで、いつもちゃんことかを練習生がまわして作るんですけど。ちゃんことか、そこにある食材は自由に食べていいみたいな感じでした。3カ月過ぎてからは、空いてる時間にちょっとずつバイトしてました」

柔道経験があるので基礎的な動きや体力的な部分では大丈夫だったが、「後ろ受け身だけは、どうしてもできなくて。足ぬかなきゃいけないじゃないですか。そこで、同期みんなに置いていかれて。代表からは、“できると思ったのに”と圧かけてくるし(笑)。ロープワークは、頭の中にイメージができていて、みちのくプロレスさんの教室に何回か行ったことがあったので、まあまあできたんですよ。デキるぜ!と思ってたら、ダック(殴るのをかわして、潜って走る)になったら、全然できなくて」

プロレスのイロハを教わったが、女子練習生の減少に伴い退団となった。

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Mirai

プロレスラー・舞海魅星、誕生

その後、人の繋がりもあって東京女子に移籍。

「同じ人に何度も答えてるのに、なんで東京女子に来たの?と、違和感があったみたいですね」。この違和感は後に現実となる。

デビューは2019年5月3日。リングネームは舞海魅星(まいうみみらい)。「高校生の時に決めました。漢字の画数も調べて大吉になるように」

新間寿氏主導で記者会見も行われ、注目度も高くなっていた。

「1年ちょっとぐらい練習生の期間があったので、やっとプロレスラーになったんだなあというのが大きかった。プロレスを一緒に見てたプロレス友達とかも見に来てくれて。そのときは紙テープもOKだったので、友達が、めちゃ巻いてくれて、めちゃくちゃ紙テープに包まれて。プロレスラーになったんだな、ありがたいなという感じで緊張はしたたんですけど、ワクワクが大きくて。緊張してないように見えたとよく言われます。初代タイガーの秘蔵っ子と付けていただいたけど、まだ蹴りもしないし、そういう動きもしてない。佐山さんには、巌流島の時から、よくはしていただいてたんですけど。一緒に練習したことはないです。“みらいちゃん、元気?ちょっと大きくなった?グッドグッドだよ”と、そういう感じです(笑)」。

東京女子は、基本、鎖国体制の「自主独立路線」を敷いていて、他団体とは異なるカルチャーで成り立っている。

「トーナメントの試合後コメントで、悔しい気持ちを伝えて、でかいことを言ったら、怒られてしまいました(笑)団体の目指すものとは違ったのかもしれません」。また、ギャラを増やすためには、売店でグッズを売るしかなかったが「自分は、本当に売店売れなかったんです。仲良しアピールをして、その人のファンを取り入れようというのも自分にはなかったので。自分の列に並んでくれていると、ありがたいと思いつつ、こんなに可愛い子が周りにいるのに、自分のところに並んでくれて、なんでだろう。親とかにも、もの好きがいるもんだなあと言われるし。多分、自分のところに来てくれてる人たちは、ルックスで選んできてる人じゃなくて、ちゃんと自分のプロレスを見て、何かを感じて来てくれてる方だなと思っているので、もっとプロレスで見せたいと思ってました。ルックスは専門外なので(笑)」
2年4カ月の東京女子での活動だったが、2021年7月2日に行われた山下実優とのUWFルールによる試合は記憶に残っているという。「めちゃめちゃ楽しかったなぁ…‼」。
「自分もプロレスラーになったから、最初に見たキラキラとかドヨンとした空気を変えて、みんなで熱くなって。あの選手、頑張ってたから、自分も頑張ろう!みたいな。そういう夢を与える存在になりたいし、勇気や元気を届けられる選手になりたい。いろんな感情を伝えるプロレスがしたい。もっとプロレスラーとして成長したい」という思いが膨らんできて、契約が終了するタイミング、移籍の道を選ぶことになる。

(vol.2に続く)

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​宮古観光親善大使のタスキを掛けて入場

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SPECIAL Interview

Mirai

MIRAIプロフィール

1999年12月3日、岩手県宮古市出身。

身長163cm体重60kg

2019年5月3日プロレスデビュー(デビュー時のリングネームは舞海魅星)。

タイトル歴:ワンダー・オブ・スターダム王座(第19代)、ゴッデス・オブ・スターダム王座(第27代=パートナーは壮麗亜美)、アーティスト・オブ・スターダム王座(第31代=パートナーは朱里&壮麗亜美)、マリーゴールド・ツインスター王座(初代=パートナーは桜井麻衣)

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