
SPECIAL
SPECIAL Interview
No Guarantee web magazine(2024.7)
青野未来インタビュー vol.2

青野未来STORY

入場用のコスチュームも作成

第2代AWGタッグベルトを持って
SPECIAL Interview
Miku Aono
飛躍の年からの急展開
プロレスも楽しくなってきて、2021年8月に自身初のタイトルを獲得した。AWGタッグ王座を関口
翔と組んで奪取。初代王者決定トーナメントでは決勝で敗れており、その雪辱を果たすことになった。
「ベルトを獲れた、翔さんと獲れたっていうのは嬉しかったですね。カケミク(関口と青野のコンビ名)の時は結構助けてもらうことが多かったんです。翔さんに引っ張ってもらっているなって感じが強かったので。そこを自分がスリー取れたっていうのは嬉しかった。特別な気持ちでした」
AWGタッグのベルトは、年末までに3回防衛、その間にAWGシングルのベルトにも挑戦。波に乗ってきた感があった。
しかし、アクトレスガールズがプロレス廃業へと向かっていく。
「最初、電話で聞きました。正直凄く迷ったけど一回は残らない方向で考えてますという話もして。あと坂口代表からは、誰と誰と誰がいればいいと言われて、そこに私が入ってませんでした。“好きにしてええよ”って言われて。人の人生、そんな言い方するのかとそれは結構ショックだったし、それもあって辞めると言ったんですけど。まだまだプロレスをやり切った感も全くない。これからだぞって時だったんで。でも結局引き止めてもらって、私も育ててもらったのはアクトレスガールズだし、アクトレスガールズを私が引っ張ろうと腹括って。残ったって感じですね」
アクトレスガールズに残る=プロレス引退、プロレスを継続する人は退団。というのが当時の認識だったので、一部マスコミからは引退報道もされた。「引退発表した方がいいとも言われたんですよ。言われたけど、もしかしたらまたプロレスに戻りたくなるかもしれないし、別にお芝居するのにプロレスラーじゃダメなわけないし。やっぱりプロレスに未練があったというか。これでもうやりきったなっていう気持ちがなかったので。アクトレスの新体制もすごく不安がありました。なので自分は引退とは言えなかったです」

ベルト奪取後、バックステージでポーズ

ベルト初奪取、勝利して感涙
Interview
Miku Aono
迷いの中にあった新体制
2022年から始まった新体制アクトレスガールズは、プロレスを用いた舞台「アクトリング」を中心に活動する予定だったが、早々に「アクトレスリング」という試合形式の公演を行うようになる。
「お客さんにカードを決めてもらうとか、最初の頃は、くじ引きでみたいなことをやったりとか、伝え方が難しかったですね。プロレスとは言えないし。じゃあオリジナリティのものって何だろう?って、そこを探すのが難しくて。どうやって、プロレスに勝るものにしていくか、それをアピールしていくかっていうのが難しかったです。あと、自分が教える方に、引っ張っていく方にならなきゃいけないっていうのが結構プレッシャーだったし。まだまだ自分は先輩から学びたかったし、もっと強い人と戦いたいっていう気持ちがあった中で、体制が変わったので。責任感がどっと来た感じはありました」
新体制はプロレスキャリアのある先輩たちが抜け、青野は実質トップのポジションになっていた。
「先輩たちすごいなっていうのを改めて感じて、特に団体を引っ張っていくっていうのでは、(本間)多恵さんがまとめててくれた部分がいっぱいあって。多恵さんの代わりに私はなれないので、自分なりにやっていくしかないなっていうのは、やりながら気づきました。団体として、エースと言われてたのは、(安納)サオリさんとかなつみさんとかだったんですけどアクトレスガールズを支えて下の子達とかをまとめるというか、団体をまとめるというイメージは多恵さんが一番、私の中では大きくて。個人的に、怪我したときとかも、多恵さんはすぐ連絡くれたりとか、すごい周りを見てて。頼り甲斐もあるし、試合ももちろんなんですけど、人としてすごい支えてくれる存在というのが多恵さんだったので。その存在がいなくなるって大きいなっていうのを私は感じました」
新体制初の後楽園大会から元スターダムの風香がアドバイザーとして参加するようになった。「風香さんが来て一番大きく変わったのが、選手それぞれの個性を引き出してくれたり、個性あった人に対しても、もっと伸ばしてくれたりとかそれぞれのキャラクターを出してくれたことですかね。もちろん女優とかやってる人が多かったから個性は強いんですけど。試合した時に、後楽園の時とかは特にそうなんですけど、8人とかでやるとキャラクターが渋滞してて。風香さんが最初に見たときに言ってたのは、なんか文化祭みたい。確かにそういう感じだったんですよ。アクトレスガールズっていう先輩たちが大きくしてきてくれたものを落とすのも嫌だし。だから私は新体制になったときに急がなきゃ、みんなのレベルというか、何か形にしなきゃって焦ってました。周りの人の個性を引き出すとか私は多分そういうのは向いてないです。自分も迷っていたので。でも風香さんは全体を見てくれて、それぞれを伸ばしてくれたなっていうのがすごい大きくて。風香さんが来てくれた後から、新人の子達もすごい伸びたんじゃないかなって私は思ってますね。風香さんは、私がエースと言ってくれて。でもその風香さんが来る前までは、引っ張らなきゃっていう責任感はあったけど、団体のエースだなんて言う自信はなかったし。そこは周りに認められてからじゃなきゃ言えないなっていう感じだったんですよ。でもずっと風香さんは言い続けてくれた。自分でも、そういう存在にならなきゃいけないんだなと思って、自覚も出てきたし。それに伴って周りも少しずつそういう目で見てくれたのかなっていうのは思います」
2023年シングルのベルトが新設された。「絶対初代取りたかったんですよ。体制も変わって、私がここに残って、エースっていう、そういう存在になりたいとも思ってたし。それを証明するにはやっぱりベルトが欲しかった。絶対に初代を取りたいとすごい強く思ってましたね」
アクトレスリングは、結果が決まっている公演。さらにポイントマッチと称して、グッズやチケットの売り上げ、練習への参加など独自のポイントで結果が決まる形だった。「トーナメントは全部ポイントマッチだったので結果は分からなかったんですよ。運の部分が結構大きかったので。いろいろ自分で頑張れるところはもちろんあるんですけど。でもみんなも頑張ってるので。ひっくり返される可能性もあるっていうところが怖かったです」。
無事に初代王者となり年末までに6回防衛。「タイトルマッチをする度に、アクトレスガールズの評価がここにかかってるぐらいの気持ちでやってたので。そういうのを乗り越えていくことで、精神的にもいろいろ強くなった気がします。ベルトがあったからかどうか分かんないですけど、だんだん周りの見に来てくれる人の目が変わっきたのは感じましたね。絶対王者って言ってもらえるようになったり。そういう声が出てきたことで、ファンの人もちょっと見方が変わったのかなと。防衛を重ねたのもあると思うんですけど。少しずつ、チャンピオンとしてちゃんと見てもらえるようになった感じはありましたね。貫禄ついてきたねとか言われたこともありました」
充実した年だった?との問いには「充実っていうと、そんなじゃないかもしれない。満足してたみたいな感じではないので。ずっとチャレンジしてたって感じですかね」

新体制のメンバーと

新体制になって初の後楽園ホール大会
Interview
Miku Aono
マリーゴールドでプロレス復帰
2023年12月にベルトを落として2024年、新たな動きがあった。スターダムのエグゼクティブ・プロデューサーのロッシー小川氏が2月に解任され、新団体設立に動いてた。そして、4月15日に旗揚げ会見が行われた。そこに現れたのが、風香とアクトレス・メンバーだった青野ら6人。「プロレスがしたくてきました」と参戦表明。4月30日に正式入団が発表された。
「金曜に坂口代表に話をして日曜の大会が最後となって、月曜がマリーゴールドの旗揚げ会見。気持ちとしては揺らいでいたけれども、もう最後の一瞬でぎゅっと。最後、辞めるってことをアクトレスのファンとか、今まで応援してくれた人たちに言えなかったっていうのが、自分でも申し訳ないなって思ってて。。プロレスはマリーゴールドで、他はアクトレスでというダブル所属という話もあったんですが」
決断の理由としては「まあでもずっと迷いはある中だったんですよ。新体制になるときからぐらいから、ずっと迷いはあって。とりあえずやってみようというので、やって。大きくしたいという気持ちも本当だったし。そこで輝きたかったんですけど。特に強くなったのはベルトを落として年明けぐらいからですかね。でも、ずっとあったからなのかな。ベルトがなくなって、じゃあアクトレスガールズで何をしようというのが、思い描けなくなってきたというか。あとは新体制になる時に、残った理由として、お芝居とかもやりたかったので。お芝居もできるかなっていう気持ちもあって残ってたんですけど、全然外のところに出れなかったんですよね。結構制限があって。もちろん自分が公演に出ないとか穴は空けられないっていうのもあったんですけど。お芝居できないなっていうところが、何の為にここでやってるんだろうって。アクトレスガールズでの限界を感じてしまって。これ以上私がアクトレスでやれることないなっていうのが大きかった。もっと輝きたいっていうのがあったので」

2024年4月30日、マリーゴールドの入団会見が行われた

旗揚げ戦では石川と対戦
Interview
Miku Aono
最初の印象が大切
5月20日に旗揚げが決まっており、早速、練習も開始。「最初の練習、すごい緊張して。その時は元スターダムの方たちが、練習を仕切るというか。やり方が違うこともあるし。アクトレスガールズどんなもんか、みたいな感じで見られてるなと思ったんで、そういう緊張もありました。
で結構ハードだったので、私は懐かしい感じがしました。プロレスの練習だって感じで。しかも場所が私がアクトレスに入って最初の頃練習させてもらった場所だったんですよ。LLPWさんの道場。そこで練習してたので、懐かしくて。緊張してたけど、またこういう練習できるっていうのも、ありがたいなっていうのと。練習はもちろんアクトレスもしてるんですよ。練習の日数は多かったんですけど。ハードにっていうところは、そんなやってきてなかったんですよね。基礎をやったりとかが多かったので。だから、もっと教えられたこといっぱいあったなっていう反省も、練習しながら自分の中で結構ありました。アクトレスは新体制になってからプロレスラーじゃなく、アクトレスガールズをやるために来た人たちだったので。見せ方を教えるって感じでした。基礎体とかは個々になってしまったりとか。全くないわけではないんですけど。プロレス的な厳しさ、上下関係とかが、プロレスほど縦社会じゃなかったんですよ。先輩とか後輩ももちろんあるんですけど、お芝居とかの現場に近い感じの雰囲気ではありましたね。だから今マリーゴールドの練習では、緊張感があるというか空気が違いますね」
また、昭和の時代によくあった合宿も行われた。「最初、どんな合宿なんだろうと思って、めっちゃ怖かったんですよ。地獄の合宿みたいな感じで記事になったので、地獄??!!って。旗揚げ前で、スタッフさんとかメンバーと会うことはあってもそんなに話したりコミュニケーションとる場が多くはなかったので、その二日間で結構選手のこともいろいろ知れました。トレーニングはジュリアさんが考えてくれて。競い合う感じのをビーチでやったり。そういうのって性格がそれぞれ出ると思うので、そういうのを見れたり、絆は深まった感じがしましたね。選手は二部屋に分かれてバラバラで。ほとんど話したこともない人もいる中で、団体を立ち上げるって大変なんだな。まだそのときは団体として一つになれてない感じがあったので、その合宿があったのはすごい良かったですね」
旗揚げ戦の相手は、2023年3月にアイスリボンを退団した石川奈青。2021年8月にアイスリボンのタッグベルトに一緒に挑戦した関係。ポスターのデザインやプロレスへの関わりについて煽ってきた。「いいんじゃないですか?そういう思いもあるだろうなっていうのは最初から分かってたので。私達も旗揚げメンバーですけど、もうひとつ前からマリーゴールドに行くって決めてた人たちの中に、途中から行った感じになってるので。面白くない人もいるだろうなとか、どういうつもりで来てるのか、向こうも分からなかったと思うので。まあ特に奈青ちゃんのおかげで旗揚げ戦も結構注目してもらえたので逆に私はありがたかったし、私からしたら石川奈青ちゃんがどうしてここにいるんだろうっていうぐらいの気持ちだったので。だから、こっちだってそのつもりだけど、みたいな。そこで対戦の理由や意味ができました」
6月からマリーゴールド・ユナイテッド・ナショナル王座のトーナメントが始まり、16日の1回戦でMIRAIと対戦。15分時間切れ、延長5分で決着つかず。23日の再戦も引き分け、29日の再々戦も時間切れ。7月13日の両国国技館で決着戦を行い勝者が1回戦勝者のボジラと対戦することになった。
「初代っていうのにこだわりたいなっていうのはあります。私のことを知らない人の方が圧倒的に多いので、今が自分をアピール、評価される大事な時期だと思って。最初のイメージってなかなか覆らないので。最初が大事だなってすごい思います。新人だったらそこから時間があるからいいんですけど。私は時間がないので」
そして、7月13日の両国国技館、連戦を制し、見事、初代マリーゴールド・ユナイテッド・ナショナル王者になった。

試合中の表情にも自信が感じられる

MIRAIと3度対決して決着がつかなかった
Interview
Miku Aono
夢はいっぱいある
「夢はいっぱいあるんですよ。夢はいっぱいあるけど。でもそれを叶えるまでやめれないとか、そんなに長い時間があるとも思ってない。アクトレスの体制が変わったことによって、プロレスでの夢って一回全部なくなったんですよ。アクトレスならではのことで、何か自分が輝く方向を考えていたので。なのでプロレスで絶対叶えたいというのは全然考えてなかったんですけど。今は取材とかでアメリカのWWEとか海外に興味ありますか?とか聞かれるようになって。あ、そういう夢も見られる世界に来たんだって思って。そう聞かれたらありますとか。そういう夢が増えていくんですけど。どこまで行けるかの挑戦なのかな。今は、やりたいことはいっぱいある。多分、これからも増えていくでしょうし。
それで自分がどこまでやれるかを挑戦したい。今はベルトで。でもマリーゴールドと言えば、青野未来ってぐらいになりたいなっていう思いはあります。私はアクストレスで辞めるしかないと思ってたので。何年やるんですかね?でも5年はないんじゃないですか…どれくらいできるでしょう。もちろん上には、たくさん活躍されてる方がいっぱいいるので年齢がってこともないですけど。プロレス以外で目指してる自分の夢ももちろんあるので。今はやっぱり(プロレス活動は)5年はないだろうなって感じですね」
(取材・撮影=山川隆一)
青野未来が選んだエポックな試合2
◆2021年2月11日 東京・新木場1stRING AWGタッグ王座決定トーナメント決勝 30分1本勝負
○本間多恵&尾﨑妹加(15分21秒 多恵ロックSP)関口翔&青野未来●
◆2021年8月13日 東京・後楽園ホール AWGタッグタッグ選手権 30分1本勝負
関口翔&○青野未来(13分19秒 バックドロップ→片エビ固め)本間多恵&尾﨑妹加●
「翔さんとタッグ組むようになって、二人でベルト巻きたいなって思いが強くて。最初(トーナメント決勝)負けたの悔しかったですし。翔さんとやってて、二人で強くなっている感覚はあったんですけど、勝つ時は翔さんが勝つことが多くて、負ける時は私が負けてるなっていう印象があった。鮮明に覚えてるわけじゃないんですけど、自分の中でそういうコンプレックスみたいなのがあって。やっぱベルトに届かなかった悔しさも大きかったし、ベルトを取った時は、私が妹加さんからスリーを取ることができて、翔さんのおかげももちろんあるんですけど、ちゃんとパートナーになれたというか。ベルトを巻いた時は達成感と、やっとベルトを取れたって喜びでいっぱいでした。初めて自分がチャンピオンってものになったので。責任感ももちろんあったけど翔さんとの信頼度もだんだん深まっていったので、プロレスが楽しくなりましたね。チャンピオンになって、さらにバチバチにやり合えて、私はこういうのが好きなんだと気づきました。自分の感情とかもだんだん出せるようになったこともあって楽しさを感じていったのかなと思います」

KKMKの入場ポーズ

トーナメント決勝で敗れ涙

2021年から始まったアクトリングでのヒトコマ

アクトリングは芝居とプロレスアクションで構成されていた

尾﨑を投げた高角度ジャーマン

トーナメント決勝で敗れた雪辱戦

マリーゴールドUN初代王者に(2024.7.13)

MIRAI、ボジラとの連戦に勝利!(2024.7.13)