スターダムに参戦して半年、壮麗亜美が自身初のシングルタイトルを獲得した。
2021年の年末、前所属団体の最後に、膝を負傷してしまい欠場のまま団体を離脱。手術をするか、しないかの判断に迫られたが、しない選択で怪我の回復を待った。
そして、2022年3月にスターダムへの参戦が発表され、リングネームも「壮麗亜美」となり、4月から参戦。体格に恵まれていたこともあり、小川PDの期待の大きさもうかがえた。
スターダム・デビュー戦は、スターダムのトップでもある“赤いベルト”を持つ、実力派の朱里が相手。持てる力を出し切り、大健闘。敗れはしたものの、期待に応えた形になった。
その後、朱里とユニット(God’ Eye)を結成。二人でスタートしたGod’ Eyeは、MIRAIが加入、JAST TAP OUTの稲葉ともかも加わり、ユニットとしての体制が整っていった。朱里は総合格闘技の経験があり、MIRAIは初代タイガーマスクの秘蔵っ子と言われ柔道の素地がある、稲葉には空手の素地がある、格闘系ともいえるユニットになっている。一方、壮麗にはバレーボールをやっていたというスポーツ経験はあるものの格闘技の経験はない。
「リーダーの朱里さんが、本当によく練習を見てくださっているので、自分がしてこなかったようなレスリングを一から教えていただいたり、筋トレとかも見ていただいたりして。レスリングの技術とかは上がってきてるんだと思います」
同ユニットのMIRAIとのコンビでゴッデス王座に3連続挑戦した時は、「この前、負けたのにまた挑戦かよ」と批判の声も上がったが、これも経験と前向きに捉えるようにした。
そして、8月、スターダムのシングルの祭典「5 STAR GP」が開幕。壮麗も初エントリー。その最中、次世代を担う選手が集まるコンセプトの「NEW BLOOD 4」で、羽南が持つフューチャー王座に名乗りを上げた時は唐突感があり、「もっと上のベルトを狙うべきなのでは」という声も聞かれた。
5 STAR GPでの壮麗の活躍は目を見張るものがあった。MIRAI、渡辺桃、葉月らに勝利、ブルースターズの区分けで5勝6敗1分という結果。リーグ戦では羽南にも勝利しており自信の裏付けになっている。「格上の選手に勝ったりして自信に繋がりました。膝の手術をしないまま復帰していて、自分の膝のコンディションがわかるようになってきた。それもあって、自分のコンディションがわかってるから、試合もやりやすい。体もパーソナルとかに通って、絞ったり、筋力つけてパワーもさらについてきた実感があります」
タイトル戦の記者会見では「『フューチャーのベルトなんて必要ないんじゃないか』とか『赤いベルトとか白いベルトに挑戦した方がいいんじゃないか』とか、色々言われました。でも、赤いベルトや白いベルトに挑戦した方がいいって思われる人間がフューチャーのベルトに挑戦できる資格があるっていうのは、スターダムの未来に相応しいんじゃないかと思います。そして、フューチャーのベルトには期限があります。今、このとき、このチャンスを逃してしまったら私はこのフューチャーのベルトを巻くことが出来ない」と強い意志を表した。
王者・羽南は、10度の防衛を果たし、フューチャー王座の防衛記録を更新中。「NEW BLOODで唯一できるタイトルマッチがこのフューチャー・オブ・スターダムチャンピオンのベルト。NEW BLOODは天咲光由のための大会ではなく若手のための大会。タイトル戦がメインじゃないないのは情けない」と自身のこだわりも吐露していた。今回のNEW BLOOD 5は天咲の出場はなかったものの、タイトル戦がメイン。「勝ってメインを締め括ります」と語っていた。
試合は、それぞれの得意技を繰り出す熱戦となる。最後は、ブレーンバスター、雷の如くの波状攻撃でフィニッシュ。敗れた羽南も、ベルトを腰に巻いてあげ、「これから、このベルトよろしくね」というメッセージとも受け取れた。
壮麗は、試合後のコメントで「過去、林下詩美がフューチャーを巻きながら4冠王になったように、私もそれをめざしていきます」と抱負を語った。改めてグランドスラムも狙える資格を得たことを振ってみると「グランドスラム狙えると考えるんですが、ハイスピードの壁が。。もしかしたら、めちゃくちゃスリムになってパワーファイターじゃなくなってるかもしれない(笑)。ハイスピードは、機会があれば。初めてのベルト、嬉しいしか出てこないんですけど。大事に大事にしっかり守り抜いて。目標は、自分の期限の来年の8月まで、しっかり防衛して、返上してという未来を作りたいと思います。そして、もちろん、これを巻いて満足するんじゃなくて、ゴッデス、アーティスト、赤や白だったり、狙っていきたいと思います」
フューチャー王座獲得は飛躍への第一歩。まず、その階段を一つ上った事になる。今後の活躍に期待したい。
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